表現の技術(高崎卓真 朝日新聞出版)
学生時代、「いい映画ってなんだ?」みたいな議論をした。
その時、みんなで出た結論は、いつもよりマシだったので覚えている。
映画を見終えた後で「なにかやらなきゃと思うこと」であった。
本書の冒頭で思い出したのはその時のことだ。
表現の使命はひとつ
その表現と出会う前と後で
その表現と出会った人のなにかを
1ミリでも変えること。
まさしくその通りで、映画も一つの表現だから、あながち僕らが学生時代に出した結論も間違っていなかったわけだ。
そのために何かの表現には全力をつくさなければならないし、ルールがテクニックもあるというのが本書だ。
目次をちょっと見てみると
「人は笑う前に驚いている」
「主人公にプチ不幸を」
「関係で笑いをつくろう」
と興味深い。
すべての表現者にとって、原則となるルールが書いてあるので、時折読み返すといいだろう。
かくいう私は単行本で出ていた本を全く読んだことを忘れ、最近、文庫本で見つけて
また買ってしまった。
忘れてまった買ってしまうぐらい表現者には必携の本だ(?)ということだ。
ちなみに、良い映画の条件は「なにかやらなきゃと思うこと」と議論した時に、いい映画の事例としてあがっていたのは、富田恵子主演の「さびしんぼう」だった。