すいません。ほぼ日の経営(聞き手 川島蓉子、語り手 糸井重里)

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すいません。ほぼ日の経営
小学生か中学生の時、池袋駅の中を通りぬけていくと、そこかしこに「おいしい生活」というポスターが貼ってあり、
子供心に衝撃というのは大げさかもしれないが心に残った。
 
長じては、メディアとしてのほぼ日に影響を受け、ほぼ日手帳は、発売初年度から、何回か裏切っているが、ずっと購入している。
 
糸井重里は、あまり本当のことを言っているように思えないし(笑)、あざとい人だと思うが、どうしても気になってしまう。
 
今回、「セゾン 堤清二が見た未来」を読んだ後に、本書を読んで見て、ある意味、堤清二の陰陽の陽の部分の正当な後継者が糸井重里なのではと思った。
 
そう思ったのは、本書で糸井が場について語っている箇所だ。
 
「ほぼ日はどんな会社なのか」と聞かれると、最近ぼくは「『場』をつくる会社だ」と説明しています。うちが一貫してやってきたのは、「おもしろい場」をつくって、その中から「おもしろいアイデアが生まれてくる」ということです。(168ページ)
 
堤清二がやっていたのは、「物」を販売することではなく、「場」をつくったり提供することだ。
糸井が手がけた「おいしい生活」の意味は物質主義から、より人間らしく生きる「場」への概念の転換ではないか。
そして、堤清二がやってきたのは、例えば渋谷のあまり発展していなかった土地に「公園通り」と名前をつけることで盛り上げ、そこに西武百貨店、パルコ、WAVE、ロフトそしてパルコ劇場をつくるという全体の「場」をつくり、売り場も「ライフスタイルの提案」という「場」の提供であった。
 
糸井重里は、それを「ほぼ日」でやってきた。
本書に書いてあるような、「スペック」「情熱」の競争をせず、つまり今まで企業の活動で正しいとされてきたことの反対のことをやって、ほぼ日は上場までした。
働き方改革ということが言われる昨今、ここに新しい働き方のヒントがあるのではないだろうか。
 
あくまでも個人的な意見だが、広い意味での「場の提供」の思想は、堤清二糸井重里みうらじゅんと受け継がれていると思う。